自分自身の今に影響を与えた人物や、ターニングポイントとなった出来事、モノ、場所との出会い。それをきっかけに変化し成長した自分を振り返る。俳優、藤木直人のビフォー&アフター。

 

藤木直人
ジャケット56,700円 シャツ19,950円 パンツ25,200円/すべてLad Musician(ラッド ミュージシャン 新宿)

――フジテレビ系列でスタートした『CONTROL 犯罪心理捜査』は、行動分析と思考パターンの解析によって事件の裏に隠された犯罪心理を追及していく。従来のいわゆる“プロファイリングドラマ”とは一線を画すアプローチが面白いですね。

犯人のちょっとした仕草や目線から事件を解決に導く。日常でも“こんなことあるよね”といった、例えばよく言う、顔の左側はその人の本心で、右側は建前みたいな。それくらい間口の広い、わかりやすいつくりになっていると思いますね。犯人もサイコキラー的な人間ではなく、どこにでもいる普通の人間で。でも、犯行の動機がわからないという。

――演じるのは警察に協力する天才心理学者、南雲準。心理学の本など、資料もいくつか読まれたとか。

何気ない行動にも根拠や動機がある。誰もが自分の意思で生きているようで、それこそどこかコントロールされている部分があるのかもしれない。そのへんが心理学の面白いところだと思いました。ただ、中には相手に好意を持っていることを知らせるには「まず目を見る」とか。「それって恋愛の基本でしょ」みたいなことも書いてあったりして(笑)。でも、だからこそ、心理学は恋愛と同じく奥が深い学問なんだろうな、とも。

――ご自身と照らし合わせて興味を引かれた事例はありましたか?

酔うとたまに記憶を無くすことがあるんですけど、心理学的にはこれを「アルコールブラックアウト」と呼ぶそうです。これからは難しい顔をしてそう言おうかなと(笑)。失った記憶は酔っていた状況と同じ環境になれば思い出すことがあるらしく、今度試してみようと思っています。

――何気ない仕草などで、自分がついやっちゃうなと思うことはありますか?

腕を組むことかな。これには拒否や警戒心、苛立ち、優越感や退屈などいろんな心理があるようですが、こういうのって考えすぎるとキリがない。気にしすぎると、現場で全員が直立不動みたいなことになっちゃいますから(笑)。何気なく演技をつけた俳優の一挙手一投足が、後々エピソードとして出てくるかもしれないので、演じる上でもそこが難しい部分になってくると思います。

――演じる南雲は、好物のジャムパンを資料の上に落としても気にならないような無頓着なキャラクターですね。

熱中するとほかに何も考えられないみたいです。ジャムこそ落としませんけど僕も、この間まではゴルフのことばかり考えていたし、理屈っぽいところは似ているかもしれないです。

――コンビを組む里央(松下奈緒)は男前の熱血刑事ですが、ああいったタイプの女性をどう思いますか?

熱血は嫌いじゃないです。ただ、強すぎる女性は、ちょっと苦手かな。僕は叱られる要素が多いので(笑)。例えば、マイペースというか空気を読めないところとか。でも心理学者と始終、行動を共にする里央も疲れると思います。いちいち分析されて(笑)。そんな二人だからこそ、男女のコンビでありながら、現時点で恋愛の要素が皆無という部分も面白いところですね。僕は発想も言動もいたって普通だと思っているので、南雲のような天才肌の学者を演じるのは難しいですよね。

――これまでにないチャレンジングな役だと思いますが、俳優デビュー15年を振り返っていかがでしょう?

何も知らずに芸能界に入ったので、最初は苦労しましたね。ドラマは石原裕次郎さん好きの親の影響で『太陽にほえろ!』と『西部警察』くらいしか見ていませんでしたし、俳優の仕事をすることになって、表現することの難しさを肌で知りました。ただ、無知な分、勢いはあったと思います。

――若さゆえの初期衝動ですね。

少年野球の子どもが「プロになりたい!」と思うのと同じような感覚で高校時代、ギタリストになろうと決意して。芸能の仕事に携わるきっかけをつかむ時間が欲しいと大学を受けて。ファッション誌のモデルに応募して。結果、5年かかって卒業しましたが、目標が叶うなら大学も辞めようと思っていましたからね。今思えば、当時は怖いもの知らずでした(笑)。

――音楽にしても大学の専攻(早稲田大学理工学部情報工学科)にしても、もの作りには興味があった?

大学は「これからの時代はコンピューターだろう」くらいの軽い気持ちで選んでましたね。何せ高校で文系、理系が分かれることも知らなかったくらいで。国語より数学が得意だから理系を選んだものの、新学期にクラス中、男ばっかりだから「失敗した」と思いました(笑)。

――大学2年の時にファッション誌のモデルオーディションがきっかけで現在の事務所にスカウトされ、4年の時に『花より男子』(95年)で映画デビューすることになりましたね。

それまでは他力本願的な部分で“華やかな世界に身を置けば、内向的な自分を変えてくれるんじゃないか?”と思っていたところ、結局やるのは自分自身なんだ、ということに気付かされましたね。本当の意味で変われたのは、そこからだと思います。

――変わりたいと思うくらい内向的な性格だったんですか?

自分にないものをあるとは言えない部分は今でもあります。マイナス思考なところもある(笑)。ただ、勢いと負けず嫌いな性格でもあったので、最初の映画に出て「俳優をやっていこう」と決意しました。よく聞かれる“自分の転機”とかを話すのは、種明かしをしているようで何だか恥ずかしいというか……。たかだか十何年で言葉にするのも、まだまだと思う自分もいたりして。そもそも無知だったから、ここまで来られたと思うんですよ。ベランダから落ちた赤ちゃんが、無防備であるがゆえに助かったような。その後、自分なりにキャリアを積んで、多少、知恵も付きましたが、最近は逆に“それが邪魔になってないか”ということを思ったりもする。自然であることが俳優の究極の目標だとすれば、不自然じゃないかって。そのへんがマイナス思考なんですけど(笑)。

――心理学と同様、俳優道も深いと感じていると。

心理学の本を読んでいた時に、人間の基本的欲求がいくつかある中で、まず生理的欲求、次に安全の欲求、親和の欲求、そして名誉欲などの自我の欲求、最後に創造的活動に関する自己実現の欲求があるんですって。人間はひとつ叶うと次の段階を求める中、僕はその最後の自己実現を求めるところにいられる。これって考えたら、すごく幸せなことですよね。

http://xbrand.yahoo.co.jp/category/entertainment/6308/1.html

 

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